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「……切れって言われてもな……」
おれは目の下まである自分の前髪を触ってみた。
俺は昔から地味な訳ではなかった。昔は明るかったし友達もたくさんいた。
俺が髪を伸ばす理由、“地味男”になった理由。
それは3年前の今日、俺が中学2年になったばかりの頃だった。
「なぁ、花菜いるか?」
「「きゃぁー!!康太くん!」」
「矢島休みだって。」
その日は始業式で、始業式が終わり俺は彼女の矢島花菜の教室に来ていた。
彼女の欠席を俺は不思議に思い花菜に連絡を取るが音信不通。
少し心配になったがその後授業があったので仕方なく携帯をポケットに閉まって授業を受けた。
――ブゥブゥブゥ
授業中、バイブがなってこっそり携帯を開くと花菜からメールが来ていた。
俺は花菜のメールを見て思わず立ち上がった。
――――――――――――
To:花菜
Sub:無題
――――――――――――
康太。好きだったよ。
さようなら。
私の分まで幸せに生きて。
――――――――――――
嫌な予感がした。
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