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――亜美side
「出来た!」
私は最後の1問を解くと天城くんにプリントを見せた。
でも天城くんは腕をついてコクリコクリとして眠っていた。
私は席を立ってプリントを先生に出しに行く。
先生に出しに行って帰ってみると天城くんはまだ眠っていた。
私は元の席に座って眠っている天城くんを観察する。
スースーと寝息をたてて眠る天城くんは可愛い。
多分この表情学校の中で知ってるの私だけなんだろうな。
そんな事を思ってにやける。
そして私はそっと天城くんの頬に触れてみた。
パシッ
天城くんは触れた私の手を握った。
私はびっくりして目を見開く。
「………花菜……」
「……え?」
時が止まった気がした。
花菜って………誰?
天城くんは眉間にシワを寄せたと思うとツーとと涙を流した。
何で泣いてるの?
私は震える手で天城くんの流れた涙を拭う。
「う………」
その時天城くんが目を覚ました。
「おはよう。」
「あ……ごめん。寝てた……」
私は必死で笑顔を作った。
「終ったよね?遅くなっちゃったから送ってくよ。」
そう言って教室を出ようとする天城くんの背中を見つめる。
花菜って誰なの?
何で泣くの?
何で何も言ってくれないの?
「置いてくよ?」
そうやって笑う天城くんに聞けるわけもなく私は「待って!」と言って天城くんを追いかけた。
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