08.すれ違い

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私と天城くんは無言で道のりを歩く。 天城くんの家から私の家までは近いはずなのに遠く感じた。 「あ、ここだから。」 玄関の前に着くと私は口を開く。 天城くんはまだ俯いたまま。 「えっと……今日はありがとう。なんかごめんね。また明日ね。」 私はそう言って天城くんに背中を向けると腕を捕まれた。 「………れ。」 「え?」 天城くんが小さな声で呟く。 「………もう、俺に関わらないでくれ。」 天城くんはそう言うと来た道を走って帰っていった。 私は天城くんの言葉の意味を理解できないまま家に入った。 「亜美。おかえり。」 「………ただいま。」 玄関でお母さんが迎えてくれた。 「怪我は大丈夫なの?」 「え?」 お母さんはニコッと笑う。 「天城康太くんって子が電話してきてね。「亜美さんに怪我させてしまいました。すみません。責任取ります。」って確か天城くんって…………学年トップの子よね?」 「……何で?」 私はお母さんの問いに答えず部屋へ向かった。 部屋に入った途端に涙が出てきた。 「関わるなって何よ。責任って何よ。天城くんが分かんない。私を頼ってよ。信じてよ…………」 今まで私は天城くんの何を見てきたんだろう。 勝手に心開いてくれたとか思って天城くんを好きになって。 天城くんは私のことなんて何とも思ってないのに…… 何でいつもいつも一人で解決しようとするの? 何で一人で悩むの? 何で何にも言ってくれないの? 私はそんな事を考えながら涙を流した。
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