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美佳ちゃんは私と向かい合って椅子に座ると頭を少し下げた。
「ありがとうございます。お兄ちゃんを友達にしてくれて。」
いきなりそんな事を言われたから私はびっくりする。
「お兄ちゃん、無口だし無愛想だし暗いし最悪でしたよね?なのに……」
「そんな事ないよ!天城くん優しいし……」
美佳ちゃんはそれを聞いてニコッと笑う。
「多分、亜美さんだからだと思いますよ。」
そう言って話を続ける。
「お兄ちゃんね、昔はあんなんじゃなかったんですよ……」
天城くんの過去を知った。
両親が事故で亡くなったこと。
両親が亡くなった日、天城くんの彼女、花菜さんが亡くなった事。
それから天城くんの性格が変わってしまった事。
聞いてるうちに涙が溢れてきた。
「お兄ちゃんね、両親のお葬式も花菜さんのお葬式も泣かなかったんですよ。」
私は泣きながら美佳ちゃんの言葉を聞く。
「両親の時は私達に「これからお兄ちゃんが守ってやるから。お別れは笑ってしよ?」って……多分私達がすごく泣いてたから心配させないように泣かなかったんだと思います。でも……」
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