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美佳ちゃんは少し俯く。
「花菜さんの時はお兄ちゃん花菜さんのお母さんに土下座して「俺のせいです。」ってずっと………ずっと謝ってたんです。」
天城くん。
時々悲しそうに私を見て笑うのは、花菜さんを思い出していたから?
「美佳ちゃん。もしかして花菜さんって天城くんの部屋に……」
「はい。」
美佳ちゃんは1枚の写真を取り出す。
それは前に天城くんの家に来た時私が帰り際に目が着いた写真。
写真は一度破られたみたいでそのあときれいにセロハンテープで元通りにされている。
天城くんが少し幼くてその隣には可愛い女の子。
その2人が幸せそうに笑うツーショットの写真。
「お兄ちゃん。高2になったらいきなりメールし出すわメール見て笑うわで少しずつ明るくなってきたかと思えば、最近は学校に帰ってきたかと思えば部屋に閉じこもって………」
美佳ちゃんは私の目をじっと見つめる。
その目が時々見る天城くんの目に似ていてドキッとする。
「亜美さん。お兄ちゃんは臆病なんです。怖いんです。きっと。亜美さん達が離れていってしまうんじゃないか。自分のせいで傷付けてしまうんじゃないか。………だからああやって、距離を置いてしまうんです。」
私は無性に天城くんに会いたくなった。
私が立って玄関に走ると美佳ちゃんがある場所を教えてくれた。
きっとそこに天城くんがいるはず。
私は家を飛び出すと走り出した。
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