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「まぁ、私としてはもう少し貴方が襲われる姿が見ていたかったのだけど」
「あの…無刀だよな…?」
「初めて話す相手に対していきなり呼び捨てって…私、貴方とそんなに親しい間柄だったかしら…」
「お前…え…今のは…」
「今の?」
「ほら…その怪物とそれ」
それ、と、無刀が手にしている血まみれの刀を指さすと「あぁ」と僕に見せるように前に出した
「あぁ…それ、なんだよ…」
「刀、だけど」
「いや、そうじゃなくて何でお前が刀を持ってるんだよ。それとその怪物はなんだ」
「回答拒否」
「は?」
「言いたくないわ」
「こっちは襲われてんだよ!だからちょっとくらい教えてくれたって…」
「私は貴方を守った。だから答えない」
「でもまた怪物が現れたりし…」
何故声が止まったか。それは無刀が手にしていた刀が僕の首もとにチャキッと音を鳴らしてそえたからだ。
「調子に乗るなよお前。」
低い声で僕の名前を呼ぶ無刀に冷たい空気が漂う。
「私は貴方に話す理由が無い。だから話さない」
「………」
「それに、二度も連続で襲われるような奴なんてそうそういないわ…あ、このことを誰かに話したりしたら私、貴方のことを殺しに行くから」
声色は元に戻ったが瞳孔が開いている。
再び刀をチャキッと音を鳴らすと刃の部分が首に触れ、ひんやりとした感覚が感じられる。
「わ…分かった!!このことは秘密にする!!約束する!!」
「そぅ、ありがとう」
そう言って無刀は刀をそっと首から離して鞘に納める
「これからは今まで通り、普通の生活を楽しんでね」
「じゃ」と言って無刀は帰って行く。
しばらくして無刀の姿が消えると僕はぺたりと座りこんでしまった。
「普通通りって…過ごせるわけねーだろ」
無刀鞠亜。
ほんと、秘密が多い奴だ。
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