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違和感の正体はすぐに分かった。ラナの、傷口だ。噛み千切られた傷じゃない。何か、鋭い刃物で切り裂いた傷。では鋭い刃物とは?あるじゃないか。あの女の鎌……。
根拠などない只の推測だが、マトはこれが真実だと決めつけた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
マトは地面を蹴って大きく跳躍。少女に向かって飛び掛かった。剣を振り上げ、下ろす。刃は少女を切り裂く筈だった。しかし、2体目のドクロが間に割って入り、マトの剣を弾いた。
「くっ!?」
弾かれたマトは男性の方へ飛ばされ、着地した。
「嬢ちゃん!無事だったか!」
マシンガンを持った男性の1人、無精髭を生やした筋肉質の男性が犬を撃ちながらマトに声を掛ける。マトは黙って男性の方を向いて頷いた。
「おぉ…ラナ…」
マトの背後にいた老人が手を伸ばす。マトは少し躊躇ったが老人にラナの頭を渡した。老人は受け取るとすぐに大粒の涙を流し、声を抑えて泣き出した。
「はいはい、お喋りはそこまでよ?」
ドクロに乗った少女は二度手を打ち合わせて注目を集める。
「まったく…何で私に攻撃して来るのよ。私は貴女を迎えに来たのよ?ブラック★ロックシューター?」
少女はマトを見、立ち上がりながら言った。
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