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ヴォルフが次々と破壊されていくのを、デッドマスターはドクロの上から眺めていた。
「やっぱりヴォルフでは歯が立たない…か」
一方的な展開を見て呟いたデッドマスターは大鎌を持った右手を正面に向け、一体のドクロをマトへと向かわせる。
「っ!」
ドクロの接近にいち早く気づいたマトはヴォルカノンの銃口を上げ、ドクロに向ける。
「ッ!?」
しかしドクロは硬く、ヴォルカノンの弾丸は弾かれる。マトを射程に捉えたドクロは鋭い歯が並ぶ口を大きく開けた。
「…しま――」
視界を埋め尽くすドクロの口内に、マトの瞳が大きく見開かれる。
「嬢ちゃん!」
男性の声と共にマトを横からの衝撃が襲う。軽いマトの身体は堪らずに吹き飛ばされた。
「…邪魔を……。殺りなさい」
上体を起こそうとしたマトの耳にデッドマスターの声が届き、次の瞬間、ナニかを引き千切るような音が周囲に響いた。続けて誰かが倒れる。
「…あ……」
上体を起こしきったマトの眼に映ったのは、先程までマトが居た場所で血溜まりに沈んだ上半身の無い男性の死体。そして、口元を赤い液体で汚し、ナニかを咀嚼しているドクロだった。
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