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「フランツ!」
老人が死体となった男性の名を叫ぶ。
「……」
デッドマスターは老人を鬱陶しそうに見つめ、指差す。新たなターゲットを標され、ドクロが老人に向かう。
「ギッ…!?」
一瞬にしてドクロは老人に近付き、右腕を噛み千切った。老人の短い悲鳴がマトの耳を打つ。
老人の背後の女性は声を上げることも出来ずに震え、腕の中に抱かれた赤子は泣きじゃくる。
腕を失い、後ろへ倒れる老人。
「うっ…!?」
そんな光景を見た途端、マトの頭にノイズが走り、見知らぬ映像が流れた。
血の噴き出す肩を押さえ、何かの機械により掛かる東洋人の白衣を着た女性。その表情には恐怖と諦め、そして後悔。
そして、女性の背後。巨大な培養器の中に浮かぶ、マトにそっくりな少女の虚ろな瞳がマトを捉える。
パァン
マトの背後から銃声が響き女性の額を穿った。
『…!?』
映像の中のマトが驚き、振り返る。
そこに居たのは、白い――――
「――はっ!?」
急速にマトの視界が戻る。
「キャァァァァ!」
直後に響いた女性の断末魔。デッドマスターによって首を刈り取られた女性が血の海に沈んでいく…。
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