蒼い瞳の少女

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遥か未来の地球……。 幾度となく繰り返された戦乱に大地は焼かれ、海は渇れ、生命は失われていった。 そんな地球の砂漠と化した大地を一人の少女が歩いていた。黒のロングコートを羽織り、フードを深く被った少女は吹き荒れる砂嵐から顔を庇いながら一歩ずつ前進していく。 と、真上から降り注ぐ太陽の光に気付き、少女は唐突にその歩みを止めた。知らぬ間に砂嵐が止んでいた。何の前触れもなく、いきなり止んでいた砂嵐の形跡を少女は周囲を見渡して探す。 が、そんなものは見つけられず、少女は再び歩みを進めるべく一歩を踏み出した。しかし、その足が地面を踏む直前、少女の足下の地面が急速に盛り上がった。 「っ!」 小さく舌打ちして少女は大きく後方へ飛ぶ。クルリと一回転して着地し、盛り上がった地面を睨むと今度はすり鉢状に凹んだ。そしてすぐに爆発。大量の砂が巻き上げられて少女に降り注ぎ、砂で出来た柱から巨大な影が姿を見せる。 『ゴギャァァァァァア!』 赤銅色の金属製の躰。明らかに生物では無い。20mを超える巨体と強靭そうな大顎を開き、パワーショベルのような2本の腕を振りかざして巨体は少女を威嚇するかのように吼えた。 「…敵…。排除する……」 少女は巨大な機獣を睨み付け、左腕を前へ差し出した。
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