蒼い瞳の少女

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「…ん…んん……」 薄暗い部屋の中で少女は目を覚ました。蒼い瞳が左右に動き、辺りを見回す。 古びた木の机や椅子、タンスの置かれた光の無い部屋。少女は上体を起こす。質素なベッドに寝かされていたようで、薄い布がずり落ちる。 コートは脱がされており、少女は素肌に着た黒いビキニとショートパンツだけの格好で、コートは側の壁に掛けられていた。ツインテールに結った頭を軽く振って少女はベッドから出る。 「うっ…」 立ち上がった少女は途端に綺麗に整った顔を苦痛に歪め、膝から崩れ落ちる。側に有った台に当たり、置かれていた水の入った桶が引っくり返った。大きな金属音が響く。 「う…くくく……」 少女は震えながらも起き上がろうと腕に力を入れる。しかし、起き上がれず冷たい土の床にうつ伏せになってしまう。 「あ!まだ寝てなきゃダメだよ!」 木の扉を開けて短い黒髪の1人の女の子が入ってき、床に倒れた少女に駆け寄る。少女に肩を貸してベッドに寝かせた後、女の子は椅子をベッドに寄せて座ってまた起き上がろうとする少女を押さえ付ける。 「あぐ!?」 少女は右肩を人差し指で押され、呻く。 「ほら、死んじゃってても可笑しくない怪我なんだから…」 少女から指を離し、女の子は少女の身体に布をかけ直した。
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