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ラナが出て行った後、眠りについていたマトは不意に目を覚ました。
「…?」
上半身を起こして扉の方を見る。何か騒がしかった。マトはベッドから降りる。
「…っ!」
少しふらついたが持ち直し、足下がこれ以上ふらつかないか確認する。
「…うん。大丈夫…」
マトは扉まで歩いて行き、ノブを回して扉を押して開けた。
「う!?」
部屋の外は明るかった。マトは反射的に目を庇う。
そしてマトは思う。以前、ラナはここは地下だと言っていた筈だと。では何故こんなにも明るい?
マトは外の景色をもう一度見た。
赤い紅い炎。木と草、土で出来た村の建物が燃えていた。
「う、うわぁぁぁぁぁ!?」
「いやぁぁぁ!」
マトの知らない人達が逃げ回っている。ナニからか?鉄の獣からだ。
炎の紅を反射する黒金色の躰をした犬のようなスタイルの機械の獣。何十頭もの群が男を、女を、老人を、子供に食らい付き、肉を貪っていた。
「……え?」
マトはその惨状に思わず一歩踏み出した。そして、ナニかを蹴った。
「…?」
マトが蹴ったものはゴロゴロと転がり、止まった。それは
「ラ…ナ……?」
涙と血に汚れ、恐怖に染められた表情のラナの頭だった。
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