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赤く燃える太陽が沈みかけている。
時間はおそらく十八時ぐらいだと思える。
しかし、今見えている太陽は本当の太陽ではない、プログラムで作られた人工的な太陽だ。
同じ時間、同じ角度で昇り沈む、白い綿雨(わたあめ)のような雲も太陽と同じ人工的に作られた物だ。
近くにある崖から黒衣を身に纏い背中に剣を背負った一人の少年が人工的な太陽を見詰めていた。
この景色を何度見ただろうかと黒衣の少年は素直に思った。
この世界に来て約一年が経つ。突然、謎のゲームの招待状が贈られて来て何気なく参加をしてプレイヤーとなった少年はもう一年も現実世界に帰っていない。
しばらく見詰めていたが太陽が沈むと黒衣の少年は立ち上がり背後にある薄暗い森の中に足を運ばせる。
薄暗い森の中を人工的な月の光が射し込んでいる。
虫の鳴き声と風が吹く音が交互に鳴り響き辺りを余計に不気味にさせている。
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