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社員への挨拶が済んだあと、会議室で引き継ぎ業務を3人で始めた。
実はある程度引き継ぎが済むと、あとは瑛に託して席を立った。
本社にとんぼ返りらしい。
「理…久しぶり」
瑛は…その時をを待っていたように口を開いた。
あのときから13年経っているが、あまり変わらない綺麗な顔立ち…
大人の色気が出て…さらにいい男になったというところか…
「あぁ…瑛。ホントに久しぶりだな」
少し嫌みを込めた。
あの別れのメール以来だというのに…
コイツは当たり前の顔をして、声を掛けてきた。
俺にとっては、忘れられない過去なのに…
「理…あのときのこと、悪かったよ」
瑛は俺のそばまで来ると、急に声のトーンを変えて…甘く囁く。
「…いまさら…じゃないのか?」
俺は、あえて素っ気なく返す。
「理、結婚は?」
瑛は、俺の左手に触れてきた。
「してない。予定もない」
瑛の左手には、キラリと光るモノが見えた。
「…お前はしたんだ?」
瑛は、ふふ…っと笑うと、
「男しかダメな俺が?
女避けだよ。あっ…男もか。
忘れられないヤツがいるからさ…」
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