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水族館は、土曜日とあって大勢の人たちで賑わっていた。
実さんはスッと私の手を取り、手を繋いでくれた。
その動作がとても自然で…なんだか嬉しくて、頬が緩んだ。
手を繋いで、順路に沿って歩く。
いろんな魚や海の生き物がいて…思わず、おいしそうと言ってみたり、驚いたり。
可愛い顔の小さな魚を見て、2人で微笑み合った。
大きな水槽を前で、立ち止まる。
「綺麗…海の中にいるみたい」
美しい光景に目を奪われてそう呟けば…
「うん…綺麗だね」
あなたの声がした。
大勢の人の中なのに…まるで2人だけの空間に居るみたいで…足が止まっていた。
どのくらい、そこに留まっていたのだろう…
「あっ、イルカはこの先みたいだね」
私たちの横を通り過ぎた家族連れの声に、我に返った。
「小万里、イルカ見たかったんだよね?行こうか!」
私の手をひっぱって歩きだしたあなたは、子供みたいで…、なんだか私よりも嬉しそう?
今まで知らなかったあなたを見れて…嬉しい。
ちょうどこれからイルカのショーの時間で、プールに近い席に座れた。
「キャー、すごい!」
ジャンプするイルカを見て…私も子供みたいにはしゃいだ。
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