5738人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃいませ。
実、久しぶり。やっと来たと思ったら、こんな可愛い娘連れて……って、中学ん時の!?」
小万里の顔を見たと思ったら、コイツ……やっぱり覚えてたか。
「久しぶり、宏二(こうじ)…うるさいぞ、少し」
「悪い…でもこの娘…確か、小万里ちゃん?」
名前まで…
「はい。高村小万里です。…時田センパイですよね?」
……小万里も覚えてたのか!
「やっぱり!俺のこと覚えてくれてたんだ。いやあ、嬉しいな」
「よく、実さんと一緒にいたから…覚えてます」
小万里…ニッコリなんてしなくていい…
俺の不機嫌を余所に、2人は握手までして…!
ベリッ!と音がしたんじゃないかという勢いで、2人の手を引き剥がした。
「てめっ!…ったく、コイツすごいヤキモチ妬くよね?知ってる?小万里ちゃん」
「バカ…やめろ!」
思いあたる節に、宏二を黙らせようとする。
「一応は知ってますけど……なんかあるんですか?」
「コイツさ、中学の頃、君の姿見るといつも構ってただろ?
実が女の子を構うなんて初めてでさ『あの娘のこと好きなんだろう?』って聞いても『妹みたいなだけだ』とか言っちゃってさ…
回りの奴等は、実の気持ち気付いてたのに、本人は気付いてないんだよ。
んで…ある日、移動教室の変更でたまたま1年の教室の前を歩いてたら、君がクラスの男子と楽しそうに話してるの見て、コイツ急に不機嫌になってさ。
いつもなら構いに行くのに、そのまま通り過ぎて…スッゲー切ない顔してたんだよ。
そんで分かったんだ、コイツやっと自覚したってね」
真っ赤な顔の小万里がいた。
最初のコメントを投稿しよう!