報われぬ恋

7/29
前へ
/560ページ
次へ
「あの…実が?嘘だろ?」 私だってびっくりしたけど… 「ホントです」 「はあ…何やってんの?アイツ。小万里ちゃんをほったらかしにしとくなんて…だから、不安なんだ?」 カァ… 胸の内を言い当てられ、恥ずかしくなり俯く。 そんなに私は分かりやすいの? 「小万里ちゃん、その気持ちをちゃんと実に伝えたの?」 俯いたまま、頭を横に振る。 「言わなきゃ分からないよ?」 「それは、分かってます。でも…忙しいの分かるし、疲れてるみたいだし」 悠那からは、それとなく様子を聞いていたから… 補佐する人がいない今、全てを実さんが一人でこなしているらしい。 出来るところは、悠那が手伝っているみたいだけど、それでも、その前からの溜まった仕事がある。 早く補佐を…と、人事に掛け合っているけど、人材探しに手間取っているようで… 来週の内に決まればいい方だと…松本部長が言ってたらしい。 「でも…小万里ちゃんはカノジョでしょ?遠慮し過ぎな気もするよ? ダメって言われたけど、声が聞きたかった…って言われたら、嬉しいと思うけど?」 そう… 私だってそう思って、一度だけ電話した。 この時間なら大丈夫かな?って考えて… でもね… 「掛けましたけど…出てくれなかったんです。もちろん、折り返しの電話もメールもありませんでした。 昨日の夜、今週になって初めて実さんの方から来たメールは、今夜のことでした」 一気にそこまで言って…何で篠崎さん相手に、私は愚痴ってるんだろう…と情けなくなった。
/560ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5739人が本棚に入れています
本棚に追加