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足を止め、先生とお姉さま方の様子を窺う。
この状況…とても声を掛けづらい。
また…あらぬ噂をたてられるのも困るし…
そう思っていると、こちらに気付いた先生が私を呼んだ。
「小万里ちゃん、こっちだよ」
はぁ…また騒がれる…
そう思っていた私の耳に、聞こえてきたのは意外な声。
「ええ―!?高村さんが妹?」
「そうだよ。ね?小万里ちゃん」
私に同意を求めるお義兄さま…
「はい。お義兄さん」
ここは、先生じゃなくて…あえてお義兄さんと呼んだ。
「ホントに妹迎えに来てたんだぁ!」
「こんな素敵なお兄さんなんて、羨ましいわ」
お姉さま方が口々に、先生のことを褒め称えている。
先生はそんな声を気にせず、こちらに歩いてきた。
「小万里ちゃん、荷物貸して?」
少し、首を傾げて言うその様は、半端なくカッコいい。
「キャーッ」
お姉さま方の悲鳴に、びっくりしながら、先生にトートバッグを預けようとした時、背後から名前を呼ばれた。
「小万里ちゃん」
反射的に振り返って、目に映ったのは…
篠崎さんと……実さん!
5日ぶりだった…
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