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スーパーで食材の買い出しをしてから、マンションに戻った。
大量の荷物をふたりで手分けして運んでも…何度か往復になるだろうな。
そう考えていたら、実さんが全部運ぶから…と言いだした。
私は、ひとりよりふたりのほうが効率は断然いいから…と押し切り、ふたりで3往復して全ての荷物を運び終えた。
センターラグを敷いたあと、さっそくラックの組み立てに入る実さん。
私は、食材をしまったあと寝室へ。
どっちのカバーにするかはもう決めてあった。
薄紅色のほうをビニール袋から取り出す。
なんだか寝室が明るくなった。
ひとり満足していると、実さんが顔をだす。
「ラック、出来た…」
言いながら、小さくなる声に実さんを見れば…
優しい笑みを浮かべたあと、私の耳に唇を寄せてささやいた。
「…いいね、この色」
「うん」
「ピンク色に染まってる」
「え?」
再度、寝室を見渡して気づく。
白い壁にカバーの薄紅色が反射して、部屋全体がほんのりとピンク色だ…
「キレイだね」
「小万里…」
後ろから抱き寄せられて…唇を塞がれた。
「夜、寝るのが楽しみだね」
唇が離れると、彼は嬉しそうに言った。
「…うん、きっとよく眠れる」
「…クスクス…」
笑いだした彼は、私の頭をワシャワシャと撫でて、リビングへと戻って行った。
さあ、私ももうひと頑張りだ。
取り外した黒のカバー、一式の洗濯に取り掛かった。
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