―風―

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二人は勘定を済ませ外へのドアを開けた。 とその時、凄い勢いの風が店の中に舞い込んできた。 風はアキの髪を巻き上げた「キャッ」と小さな声を上げて思わずアキは髪を押さえた。 ほんの一瞬の出来事だった。 「うゎぁ~春の突風かぁ~」ハルキはアキを庇うようにドアを一旦閉めた。 次には何も無かったようにドアは開いた。 風のせいか外は雲行きが怪しい感じて、今にも雨が降りそうになっていた。 「急いでいで帰ろう」 二人は駐車場まで早足で歩いた。 間一髪、車に着いたと同時くらいにポツポツと雨が降りだした。 「タイミングいいね~」 「本当~今日はついてたね」 アキも相槌をうった。 「あれ…?」 「ん、どうした?」 ハルキは車を走らせながら聞いた。 「無い…」 「何が?」 「イヤリング」 「イヤリング?無くした?」 「うん…片方ない…」 アキは半べそだった。 「車に落ちてない?」 アキはシートの回りや足元を探したが無い。 「いやだぁ~何処で落としたんだろう」 アキはあるはずの無いバックの中まで探した。 あのイヤリングは去年ハルキがアキの誕生日に買ってくれて、アメジストの珍しい石が嵌め込まれたお気に入りのイヤリングだった。
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