―風―

9/10
前へ
/394ページ
次へ
その夜は何時もの夢と違っていた。 変わらず、暗い原野に居るのだが、傍に彼が寄り添っていた。 アキは彼の体温を全身に感じて、彼の手は腰に回されていた。 「アキ…」 耳元に吐息の様な声がした。 彼の顔が直ぐ間近に感じられた。しかし、顔が見えない。見ようとすればするほどボヤけてしまう。 彼の唇がアキの唇に重なった。 柔らかい唇の感触、ぬるりとした舌がアキの舌を捉える。 次第にそれは激しさを増し、それと同時に彼の手がアキの身体中を愛撫していた。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2550人が本棚に入れています
本棚に追加