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「おいでアキ、走るんだよ、もうじき奴らが来る」
彼はそう言うと、アキの身体を起こし手を引いた。
彼はアキの身体を抱くようにして走る。
アキは彼の速さに足がついていけなくなりそうになりながら、必死で走った。
回りに複数の足音が聞こえる。そして、その足音は段々と近づいてくる。
彼の胸の心臓の音が早鐘のようになっている。
どれくらい走ったのだろうか、アキは心臓が止まりそうだった。
『もう、駄目…走れない…』
そう思った時、突然足元の大地が無くなり、二人は抱き合ったまま暗い谷底へと落ちて行った。
声にならない声が口から出て、彼の手を離さないようにもがくけど、握っていた手は離れ、二人は離ればなれになり悲鳴だけが谷底に響いた。
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