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「おっはよー!ノノちゃん!」
「んあ?」
小鳥がさえずり始めた朝、私、ユキはノノちゃんを起こしに来た。
案の定、ノノちゃんはいつものように寝ている。
「ユキさんか、全く、あんたも暇な人だ」
「わー、褒められたのかな?それともけなされたのかな?」
「けなしました」
「即答!」
ううっ、いつものことだけどノノちゃん酷い…。
狐の妖怪であるノノちゃんは、いつもこの森で暮らしている。
そういう私は座敷童!でも、人間の家には住んでないよ。
何故かって?だって人間ってすぐいなくなっちゃうもん。
「ユエちゃんは?そういえばいないね?」
「一昨日からいませんよ」
「え、何で教えてくれなかったの!?」
「めんどくさくて」
「ヒドュイ!」
ノノちゃん、マジで勘弁して…。
流石の私でもへこたれるよ。
まぁ、妖怪が私みたいに素直っていうのもどうかと思うけど。
「ノノちゃん!遊びに行こう!」
「嫌です。人間に化けるのはこりごりです」
「何でー!?楽しいよー!」
「ユキさんは本当に妖怪らしくないお人だ。土産話で十分ですよ」
むー…。
ノノちゃんもユエちゃんも、どうして一緒に行きたがらないのさー…。
分かった!
「人間が嫌いなんだ!」
「今更ですか。どうぞ行ってきてください。私はもう一眠りします」
それだけ言うと、ノノちゃんはあくびをしてまた芝生の上に寝転んだ。
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