序章

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こうなってしまったノノちゃんは、叫んでも叩いても起きようとしない。 ユエちゃんの力じゃないと無理だ。 「じゃあ、一人さびしく行ってきますよー…」 返事の代わりに、かすかな寝息が聞こえてきた。 ★・・・★・・・★ 「うわー、いい天気!」 森から出ると、お日様が私を照らしてくれた。 いつもの着物じゃなく、人間に化けて普通の服を着る。 別に私はノノちゃんやユエちゃんと違って見た目は人間だからいいんだけど、たまに鋭い人に座敷童だって見抜かれるから化けるようにしている。 それにしても、最近めっきり妖怪が減ったなー…。 「……」 ユエちゃん、大丈夫かな? いや、自分の心配もしなきゃだよね。 ノノちゃんやユエちゃんが、そう簡単にアヤカシ祓いとかに殺られるわけないし。 でも、減った妖怪は悪い事ばかりしてたやつだから、大丈夫だよね? ノノちゃんやユエちゃんは、人間を嫌ってるけど悪さはしてないし。 ただ、森に引きこもってるだけで。 「ええい!暗い事考えるのは止め止め!」 散歩でもしよう! せっかくいい天気なんだし、楽しまないと損だよね! ここからしばらく歩くと、広い広場につくから…あ、見えた見えた! 「うわー、今日も人がいっぱいいるー」 小さい子供からお年寄り、若い人も結構いる。 中には、おいしそうな食べ物を売ってる人もいるんだけど、妖怪ではお金なんていうものはないから買えない。 あ、ちなみに私がいつも食べてるのは森にある木の実とか、ノノちゃんが食べてる川の魚を分けてもらったりとか。 ノノちゃんは昔、人間も食べてたらしいけど、今は肉より魚の方が好きなんだって。 「えっとー、ベンチベンチ…」 キョロキョロしてると、空いてるベンチが目に入った。 さーて、今日ものんびり人間観察だー♪
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