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「ここであの子供がおぼれたら、皆池に近づくと危ないかもしれないって思うわけでしょ?
それって、事故も少なくなるし、好都合だよ。どうしてもっていうなら、ユキさんが真っ先に助けてあげればいいじゃん?」
「あ、そっか…」
「そーいうこと★人間と妖怪の今の関係は、それで十分。じゃあ、また後でね」
それだけ言うと、ユエちゃんは姿を消した。
と、同時に、時間がも動き出す。
ボッチャーンッ
案の定、子供は池に落ちた。
助けなきゃ!と私が動き始めたころには、もう男の人が助けていた。
…おおう。
「ゆう君!す、すみません!」
池に落ちた子供のお母さんらしき人が、男の人におじぎしている。
まぁ、よかったよかった。
ん?あの男の人、着物なんて着てる。
へぇ、いまどき珍しいな。世の中はじゃーじとかすかーととかでしょ?
ちょっと男の人に近づく。
……?
あれ?なんか、この男の人、他の人と違うような…。
…あ、目があっちゃった。
まぁ、そこまで気にすることないか。
「ちょっとすみません」
「え、あ、はい?」
通り過ぎようとすると、その男の人に声をかけられた。
…あ、なんかこの人、すっごくかっこいい……。
ドキッと、思わずときめく。
いやいや、相手は人間、うん、人間…。
「………」
男の人は私を不思議そうにじーっと見る。
……まさか、バレた?
「よ、用事がないならこれで…」
「あ、はい、引き止めてすみません」
慌ててその場から離れた。
頭の中は、あの男の人でいっぱいになった。
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