愛章

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「ノノちゃん、ユエちゃん!」 あれから一週間、私の頭の中はあの人のことでいっぱいだ。 何百年も生きてきたけど、まさか人間を好きになるとは思ってなかった。 いつものように集まってごはんを食べているとき、私は唐突に口を開いた。 ノノちゃんとユエちゃんは食べながら私の方を見る。 「ふぉーふぃふぁんふぇふ?(どーしたんです?」 「ふぁえふぁふぇんふぉ(あげませんよ」 「食べ物食べたまましゃべらないで!あとノノちゃん、私そこまで食い意地はってないよ!?」 私のツッコミを軽く受け流し、二人は食べ物を飲み込んだ。 相変わらずの食いっぷり…。 「どーしたんです?」 「喉にまつぼっくりでも刺さりました?」 「どんな状況!?ノノちゃん、私の事なんだと思ってるの?」 「座敷童ですよ」 「そーいうわけじゃなくて!」 ハッ、いけないいけない。ついつい話が脱線してしまった。 ユエちゃんはまだいいとして、ノノちゃんと喋ってるとどんどん話が脱線する。 「あのね、びっくりすると思うけど…」 ユエちゃんはりんごにかぶりつき、ノノちゃんは私が持ってきた缶ジュースのふたを開ける。 二人とも、何やかんや言って、現代の生活に慣れてるような…。 「私、人間に恋しちゃった」 「ゲホッ」 その瞬間、ユエちゃんは胸を叩いてむせる。 ノノちゃんは無言だけど、持っていた缶ジュースを片手で握りつぶした。 …うん、予想通りの反応。 「…ユキさん、えいぷりるふーるは今日じゃないですよ」 「発音変だよ、ユエちゃん。嘘じゃないって!本当なの」 ユエちゃんは「えー…」と呟く。 ノノちゃんは興味無さそうに生魚に手を伸ばした。 …あのう、コメントはなしなのですか? 「ノノちゃん?」 「人間と関わりたくないので、この件に関してはユエと話し合ってください」 「ノノが私を売った!私、この中で一番年上ですけど!?」 「年上は年下をまもるものじゃんか」 「年下は年上を敬いたまえ!」 年下VS年上がはじまった。 …見た目と成長的な面では、私が年上だけどね。 「っていうか二人ともー!私の話真剣に聞いてよー!」
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