第十二章

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『……カハッ!』   遅かった。慶太は大樹の腹部を拳で突き上げた…らしい。大樹は腹を押さえ、背中を丸くしてその場にうずくまった。   『効いたろ?ノーガードだったぜ。明星(下腹部にある急所)を突いた。しばらく動けねぇ。まぁすぐに意識を失うがな…。』   きっと慶太は大樹にとどめをさすつもりだ。このまま攻撃を受け続けると、さすがにタフな大樹も非常に危険である。しかし、慶太はやめようとはしない。   『終わりだ!くたばれ!』   オレはとっさに大樹の元へ走った。   『大樹ィィイイ!!』   『お前に言ったんだよ。……真心』   『何!!?』   バキ!!   ……後頭部に鈍い痛みがはしる。慶太め、べらべら話している時にこっそりオレの背後に移動してたのか…まんまとしてやられた。慶太は見下したような声で言った。   『お前みたいなタイプは味方に攻撃すればすぐ意識が切れるんだよ。そんなんじゃ自分の命も守れねぇよ。』
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