第十二章

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 オレ達はしばらく星を眺めていた。山で見る星は翼の家の庭で見た星とは違っていた。とても大きく感じたのと、それと…。   『ねぇ、真心君。君は明日の戦いに対してどう思う?』   『どうって言われてもなぁ………。』   『正直ね、オレは怖いよ。不意を付かれたとはいえ、慶太一人にオレ達はギリギリの戦いだった。でもあれは、あくまで門番でしかない…。きっと家の中にはもっとすごいのが沢山いるはずだよ。それに……。』   『…それに?』   オレがたずねると、翼は指で自分のこめかみをトントンと叩いて、ニコリと笑いながら言った。   『オレ達のこの能力…。今まで世界はこの部分が機能していない状態で゙回って"いた…。それが正しかったんだ。でも、今はそれが覚醒し、さらにそれを利用しようとする者がいる。……もしかして、オレ達はいてはいけない存在なんじゃないかな?』   翼の腕がほんの少しだけ震えていた。翼は…いや翼達は、オレよりも早ぐ外"を知り、長ぐ外"で暮らした。その中で自分の存在する必要性について深く考え、悩んだのだろう。…オレにはわからない。必要か必要じゃないかなんてわからなかった。ただオレは強く、翼に言った。   『…オレに任せろ。』
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