第十三章

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 オレ達は門の前に立っている。結局ここに着くまでの間、一度もキメラには遭遇しなかった。   ゙白い家"はあの時のままだった。穴の開いた門を囲むようにして氷の柱が静かにそびえ立っている…。でもオレはあの時とは違う。この氷の理由も今ならわかる。オレは深く深呼吸をして能力を使った。   『゙変換"解除。温度の単位よ、℃へ戻れ。』   氷の柱は一瞬で水に変わり、いっきに崩れ落ちてオレ達の足元を濡らした。これで゙白い家"の中に入る事が出来る。オレ達はゆっくり門をくぐり、庭へと入っていった。       庭には何もなく、また誰もいない。これで敵は家の中で待ち構えている事が、ほぼ確定した。   オレ達は家へ向けて足を進ませた。゙白い家"は以前見たときより大きく、暗く見えた。何と説明していいのかわからない独特の威圧感がずんと伝わり、オレ達はその圧力に今にも潰されてしまいそうな感覚に襲われた。   その圧力を抱えたままオレ達は一歩一歩、最後の戦場へと歩いていった。
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