第十三章

9/48
前へ
/175ページ
次へ
『オレの走る速度。例えばそれを時速30キロメートルとしよう。そしてオレ以外を一つ対象とする。…するとオレの時速30キロメートルは対象から見で絶対"になる。対象がどんなに早く走ろうが対象から見たオレの速度は時速30キロメートルってわけだ。故に…お前達はもうオレから逃げられないんだよ!!』   森は速度の能力者だった。だから大樹のバックステップの瞬間に加速したのか…。確かにどんなスピードで逃げても捕まってしまう。逆に捕まえることも不可能だ。   (くそ!こんな時に限って厄介な敵だ。すぐ目の前に准也がいるのに…)   オレはどうしようもない気持ちでいっぱいだった。悔しかった。しかし、目の前の敵を倒さない限り、准也の所には行けない…オレ達は戦うしかない。オレは臨戦体勢に入った。   『そこをどいてもらわないと困るんだよ!覚悟しろ!!森!』 耕平ががむしゃらになっているオレ止め、静かに言った。   『待て、真心。お前は翼と一緒に神原の所へ行け。こいつはオレと大樹とハマの3人でなんとかする…。』
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加