第十三章

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 オレは全く予想出来なかった耕平の言葉に驚きが隠せなかった。   『何言ってるんだ?耕平。お前も森の能力を見ただろう?3人でなんて絶対無理だ!』   耕平は動揺しているオレの肩をぎゅっと掴み、また、静かに言った。   『さっき…神原の隣にいた男、あいつがお前の言ってた准也っていうやつなんやろ?ならこんな所で道草くってる暇はねぇぞ。……行ってこい』   『でも………!!』   『大丈夫。心配すんなや…オレだって負けるつもりはねえ。倒し方がわかったけんのう…。森を倒せるのはオレだけや。そのサポートとしてオレが大樹とハマを選んだわけや。だけんお前達はこの戦いには必要ない…。わかったら行け!!』   耕平はそう言ってオレの左胸に軽く拳を当てた。オレは少しの間黙り込んでいたがすぐに顔を上げた。   『…わかった。行ってくる…死んだりしないでくれよ。』   『馬鹿。こっちの台詞や。』   オレには耕平が本当に森を倒す方法を見つけたのかわからなかった。もしそうだとしても、絶対にオレと翼もサポートに回ったほうが有利に戦える筈だ。 耕平は自分の戦況を不利にしてでもオレを行かせようとしている。まったく…こんな所で色男ぶりを発揮しやがって……。   『上に行くぞ!翼!』
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