第十三章

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もう一度、森の能力について振り返ってみる。対象との相対速度を無くす。対象をとることは絶対条件である。そして、攻撃が当たった時の森の゙油断"という言葉…。不意を突く事が出来るということだ。したがって自動的に対象が切り替わったりはしない。   (試して…みるか)   耕平は森に気付かれないように拳を強く握った。すると、タイミング良く浜崎が森に向かってナイフを振り回した。森はそれを余裕の表情でサラリとかわした。   『同じ手できやがって。そんな攻撃はもう当たらねぇよ!』   …今や!!   『食らえ!お願いだから当たってくれよ!!』   見事に耕平の攻撃は森に直撃した。森は苦悶の表情を浮かべて地面に膝をついた。耕平の読みは当たった……これなら勝てる! 浜崎は目の前の敵が突然ダメージを受けたのでキョトンとしている。どうやら正気に戻ったらしい。   『ハマ、ちょっと耳貸せ。』   耕平は浜崎に耳打でこれからの作戦を告げ、二人はゆっくりと定置についた。   『窮鼠猫を噛むとはこの事やな。覚悟しろ、森…!』   この時、二階の方で硝子が激しく割れたような音がした。耕平と浜崎はその音を作戦の合図とし、それを実行した。
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