第十三章

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浜崎は大きく深呼吸をして自分を対象に能力を使った。   『能力発動、時間゙60"倍…!』   そして一気に森との距離を詰める。森は呆れたようなため息をついて言った。   『何を考えたかと思えば、また同じ手か。あの時は油断したがもう通用しねぇよ。どんなに速かろうが、オレには追いつけねぇんだよ!能力発動!゙絶対速度"!』   浜崎は絶対攻撃が当たらない森にナイフを突き出す。森はそれをかわし、右でのカウンターを狙った。   『くたばれ、浜崎。お前も終わりだ!』   『能力解除及び発動。時間…』         『…3600倍。』   一瞬の出来事だった。森のカウンターの時に森の速度が一気に減少し、それとほぼ同時に森の体がくの字に変形して弾丸の如く吹き飛んだのだ。  そう、森は能力の対象を一つしか選べない。それは森の゙対象変更"の言葉でわかる。だから最初に浜崎の速度を上げて森が浜崎を対象にせざるを得ない状況を作った。後はカウンターの瞬間に浜崎の速度を戻し、森が対象を変更しないうちに新たに浜崎の能力の対象となった耕平の攻撃を与えたのだ。完全勝利であった。 耕平はニヤリと笑って力無く倒れている死体に向かって言った。   『速度が3600倍になれば運動エネルギーは3600の2乗倍で12960000倍………一生寝とけ。』
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