第十三章

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オレは翼の言葉に驚いてしばらく動かなかった。翼はまた確認するように言った。   『君はまず仲間を外に逃がしてやってくれ。オレは先に神原の所に行く…』   『ばか!何言ってるんだ!?一人でか?神原も能力者かも知れないんだぞ。それにあいつ達に用があるのはオレの方じゃないか!!』   動揺しているオレに翼は優しく話し掛ける。   『みんなこんなに怯えているんだ。初めて見るオレよりも昔から知っている真心君の方がいいと思う。そうだろ?』   確かに翼の言う通り、仲間を逃がすのはオレの方が適している。しかし翼を一人で行かせるのは余りにも危険である。   『わかった…オレが仲間を連れていく。そのかわりだ、翼、お前はこの部屋でオレが戻って来るまで待っててくれ。これで良いだろう?』   翼はしばらく黙り込んだが、すぐに首を縦に振った。   『そうしよう。そうと決まれば早く行ってくれ。』   オレは仲間を連れて部屋を出た。翼は部屋の扉が閉まるまでずっとオレを見ていた。         『行ったかな………嘘も方便。ごめんね、真心君。』   翼は部屋を出た。
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