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オレは翼の言葉に驚いてしばらく動かなかった。翼はまた確認するように言った。
『君はまず仲間を外に逃がしてやってくれ。オレは先に神原の所に行く…』
『ばか!何言ってるんだ!?一人でか?神原も能力者かも知れないんだぞ。それにあいつ達に用があるのはオレの方じゃないか!!』
動揺しているオレに翼は優しく話し掛ける。
『みんなこんなに怯えているんだ。初めて見るオレよりも昔から知っている真心君の方がいいと思う。そうだろ?』
確かに翼の言う通り、仲間を逃がすのはオレの方が適している。しかし翼を一人で行かせるのは余りにも危険である。
『わかった…オレが仲間を連れていく。そのかわりだ、翼、お前はこの部屋でオレが戻って来るまで待っててくれ。これで良いだろう?』
翼はしばらく黙り込んだが、すぐに首を縦に振った。
『そうしよう。そうと決まれば早く行ってくれ。』
オレは仲間を連れて部屋を出た。翼は部屋の扉が閉まるまでずっとオレを見ていた。
『行ったかな………嘘も方便。ごめんね、真心君。』
翼は部屋を出た。
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