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そのころ翼は最後の部屋の前に立っていた。
『さて…行くか。』
翼は一人でドアを開けた。すぐ目の前には神原と准也がいる。神原は翼の姿を確認し、少し小ばかにしたように言った。
『おや?これは予想外ですね。誰かと思えば私の助手ではないですか。わざわざ殺されに来たのですか?ひとりで逃げれば良かったものを…愚かな、とても私の助手とは思えませんね。』
翼は拳を強く握った。身体を小刻みに震えさせている。今は思いを隠す必要はない…それは翼も十分認識していた。
『教授…いや、神原!!総帥なんて馬鹿な考えはやめるんです。力でねじ伏せても何にもならない…その事に早く気付いて欲しいんです!!今ならまだ間に合います…こんな事、辞めてください!!』
『成長しないな、君は。今まで何のために外に居たんですか?しかし、君の能力と状況に対する適応力は捨て難い…どうです?もう一度私の元で働き、共に世界のトップになりませんか?』
『オレはもうあなたの助手ではありません!!』
少しの間、沈黙が流れた。神原は諦めたように短いため息をついた。
『仕方ないですね…それでは消えてもらいましょうか。この私のパートナーの手によってね。』
『全力で…止める!!』
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