第十三章

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 准也が動いた。無表情のままで歩いて来て翼との距離が5メートル程のところで足を止めた。しかし、全く構える様子はない…だからといってこちらがすぐに攻めるのも良くない。相手の能力は解らないのだ。 准也が翼と同じく防御型の能力だったら構えなくても、なんら問題はないからだ。   両者ともに動かなかった。いや、一方ば動けなかった"のだ。相手は自分の能力を知っている…しかし自分は相手の能力を知らない。そんな絶対的に不利な状況の中、容易に攻めるなんて自殺行為…今は守りを固める事が先決である。翼は構えて准也の出かたをうかがった。   やはり先に動いたのは准也だった。准也はいきなり踊りだした。日本舞踊の様に゙円"をイメージさせるような優美で力強い動きだ。准也はそのまま拳を握らず、脱力した腕を翼へ向けて振り下ろす。   『何!?鞭打(べんだ)!?でも軌道をずらせば何とかなる。』   翼は准也の攻撃を受け止め、それを自分の腕を這わせようにして攻撃をふせいだ。           『…ぐ、ぐぁぁああ!!』
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