第十三章

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『はぁはぁ…真心…君!?』   オレがドアを開けて見た時、翼はボロボロだった。顔は傷だらけで衣服も破れている。オレが翼の元へ駆け寄ると、翼は膝を崩し、オレにもたれ掛かって来た。…すでに限界だったんだろう。   『翼、大丈夫か?誰にやられたのか?』   『はぁはぁ…神原の隣にいる准也って奴にね。計算外だったよ…オレの知っている術(すべ)じゃあどうしようもないみたい。正直君が来てくれて助かったよ…。オレの代わりに神原を止めてくれないかな。』   准也が翼を?待て…准也がオレの仲間に手を出すはずが無い。そんなことあるはずが無い…オレの知っている准也はそういう奴じゃないんだ…   『………』   オレは返事をする事が出来なかった。知ってはいたんだ、准也が敵だってことは…でも神原を止める為とはいえ、オレが准也と戦うなんて…。   『あれあれぇ?もう一人来たかと思えば早速、戦意喪失ですか?情けない…翼君も駄目な仲間を連れて来てしまいましたねぇ。』   神原は笑ってオレを挑発した。しかしオレにはその挑発にのる程の余裕はなかった。准也に会えて嬉しい…嬉しいはずなのに…   『………翼を殺せ。』   神原が准也に命令した。
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