第十三章

28/48
前へ
/175ページ
次へ
 准也は無言のまま、神原の言葉に頷きもせずにオレ達の所へ走って来た。そして無情にも准也は翼に向けて腕を振り下ろす。   『ひゃひゃひゃ!!消え去りなさい!翼くぅーん!!』   『やめろぉお!!』 オレは自分の手に氷のグローブをつくり、振り下ろされる准也の攻撃を防御した。すると目の前からすごい湯気のようなものが溢れ、視界がさえぎられた。 『こ…これは、水蒸気…?』   水蒸気はかなりの高温だった。そしてオレのグローブは准也が殴った部分だけ削れていた…いや、溶けていたと言った方が正しいのか。   『くっ、チキンが邪魔をして!!准也!まずは真心から消してあげなさい!』   准也は眉ひとつ動かさずに今度はオレに攻撃をしてきた。しかしオレは大切な親友に攻撃する事は出来ない。   『やめろ!!准也!オレだ、真心だよ。どうしちまったんだよ、目を覚ませ!!』 いくら叫んでも准也の動きには変化はなかった。そしてオレはとうとう、壁まで追いやられた。 『今です准也!!真心を殺しなさい!!』
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加