第十三章

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 准也は左腕を押さえているオレを見て立っている。相変わらず無表情だ。…まったく、いつからそんな無愛想な男になったんだよ。いや、違うか…だって…   『お前は准也なんかじゃない…オレの知っている准也はそんな顔はしないし、仲間や友達に手をあげたりする奴じゃない。 …確かにそこにいるのは准也そっくりだ。でも准也はあの時、オレの目の前で頭を撃たれて死んだ。だから…今そこにいる奴は、身体は准也でも心は作り物なんだ。 …顔や身体なんかじゃない、オレは准也の"心"が好きで、それに会いたくてここまで来たんだ。なのに…!!』   神原は見下したようにオレに言う。   『准也君は本物ですよぉ。一度死んだ身体を我が家の技術で蘇生させたのですよ…。今目の前にいるのは正真正銘、本物の准也君。わかりますか?』   『親友の身体をもてあそびやがって…神原!!絶対に、殺してやる…!!』
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