第十三章

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 オレは准也の攻撃を最小限の動きでかわし続ける。不規則な攻撃対してはそれが適切である。…それにしても熱い。直接触れられなくても、空を切ったところの空気が摩擦熱で異常な程に高温になっていた。顔面にくらってしまっては命はない…オレは慎重に反撃のチャンスを伺った。しかし…   『ん………何だ?』   急に准也の動きが止まった。准也は構えを解き、壁の方に歩いて行った。そして窓の所で立ち止まり、そこに掛かっているカーテンを破り始めた。いったい何をしているんだ…?あそこまでノーガードでいられると攻撃をする気にもならない。   しかし次の瞬間、オレはその時に攻撃しなかった事を後悔した。   准也はカーテンを縦に細く破り、それを右手に持った。今まで攻撃に使っていた方の手だ。 そして今度はそのカーテンを゙左手"でゆっくりと撫でた。   『う、嘘だろ……。』   カーテンは一瞬で凍りつき、その先端は鋭い槍のようになった。余談ではあるがオレはその時、理科の教科書に載っていた超低温のバナナで釘を打つ写真を思い出した。   准也は静かに槍を構えた。   『これが左手のシヴァの能力か…デタラメな事しやがって。』   そして准也は美しく舞う。
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