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『真心君!!』
凍り付いていたオレの左腕が割れた。肘から下はバラバラになって地面に落ちた。今までに感じたことのない激痛がオレを襲う。
しかし、このまま准也の攻撃範囲にいてはすぐにとどめを刺されてしまう…。オレは左腕を押さえ准也との距離をとった。心配したタケヤスがオレの元に駆け寄る。
『大丈夫か!!真心?』
『ぐ…あぁ。大丈夫だ。どうせもう使えなかったほうの腕だったからな。でも、まさか砕かれるとはな…これじゃ茶碗すら持てぇよ…』
『馬鹿な事言ってんじゃねえ。でもなんで腕が砕けたんだ!?准也はそんな術(すべ)は知らないはずだぞ…』
『たぶん…お湯に氷を入れた時にヒビが入って割れてしまうのと同じ原理だろうな。超低温で凍り付いた腕を超高温で熱したんだ…そりゃ割れるよ。でも、とっさに左腕を出したのは幸いだった…まだ戦える。』
タケヤスはまた頭をポリポリかいてオレに言った。
『無茶だって言っても戦えるのはお前とオレだけだもんな…。最後までやるぞ…!!』
オレとタケヤスはお互いの顔を合わせ、軽く拳をぶつけ合った。タケヤスは下を向いて軽く笑ったが、すぐに顔を変えてオレに言った。
『…今からオレが言う事はハイリスクハイリターンな作戦だ。成功すれば一発で終了だが…逆に失敗すれば真心、お前の命はねぇ…やる度胸はあるか?』
オレには今の状況の打開策は思いつかない…。迷っていたらみんな殺されてしまうだけだ。オレは首を縦に振った。
『゙白い家"を出てから今まで、何度も死ぬ思いしてきたからな。あと一回それが増えるくらいたいしたことないよ。…教えてくれ、タケヤス。』
タケヤスはオレに耳打ちをした。
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