最終章

2/6
前へ
/175ページ
次へ
 オレ達は白い家から脱出し、そして庭の中心に准也の墓を作った。   仲間の解放もおわった。神原の野望も阻止した。 これでオレ達の全ての目的は達成されたのだ。   『…で?これからどうするんだ?』 大樹がオレにきいてきた。 オレは再度この゙白い家"に来るまでの間、自分なりに考えていた。それを話す時がきたのだ。随分自分勝手な考えだが…   『オレはずっと何の目的も無くし生きてきた。このまま゙外"で暮らしても、ただ時間が過ぎるだけだ。それに…』   オレは続きを話すのに躊躇し、話しを止めてしまった。皆は黙り込んでいるオレを見て首を傾げた。   しかし、このまま黙っていても何も始まらない。それに反対されると決まった訳ではない。 オレは話しを続けた。 『オレは…いや、オレ達の能力。これはこの世界に必要ないのじゃないか? 今までは何の問題もなく世界は回っていた…でも新たに術(すべ)を知る人間が現れ、それを悪用する者もでてきた。オレ達さえいなければこのような事は起きなかったはずだ。』   『でも、悪用しようとする奴はもういないんじゃあ…』   浜崎が不思議そうにオレに言う。 オレは答えた。   『人は力を手に入れた時、またさらなる力を手に入れようとし暴走する…これは誰にでもある、゙力への意志"なんだ。仕方のないことなんだ。 神原はそれが理性で制御出来なかっただけ。 オレ達がいつ、その本質に理性が飲み込まれるかはわからない…』   『じ、じゃあもしかしてお前まさかここで、し…』   動揺した耕平の言葉を掻き消すようにさらにオレは話しを続けた。   『安心してくれ耕平、死にはしないよ。ただオレは神原のような人間や准也みたいな思いをする人間を見たくないだけだ。 だからなここでそんな人間が出ないように見ていればいいんだ。能力者には能力者しか通用しないからな。』
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加