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その時オレはやっと、タケヤスは大樹と同じタイプの人間であることがわかった。今更ではあったが…。
タケヤスが言ったあとにしばらくして、大樹が頭をポリポリかきながら言った。
『加奈には絶対帰るって言ったんやけどな。しかたねぇか…オレもお前の話しに乗るぜ。お前と砂浜での続きもしたいしな、真心。』
大樹はオレの胸を軽く叩いた。…もしかして、次に起きた時がオレの命日なのか…?
『オレは…みんなと一緒じゃないとイヤだ!!』
いきなり浜崎がそう叫んだ。まぁ、この話しに乗ると解釈してよいだろう。
どうやら全員同じ意見のようだ。
これが仲間なんだと、オレは無性に嬉しくなって顔がにやけた。オレは下を向いてにやけ顔が見えないようにしてみんなに言った。
『みんなありがとう、これからもよろしくな…じゃあ今から近くに水を集めるからみんなは少し離れてくれ。』
オレは20メートルほど先に巨大な水の塊をつくった。すると隣にいる翼がオレに問い掛けてきた。
『真心君。君はこれで本当に良かったの?もしかして、オレに合わせているだけじゃないのかい?』
どうやら翼はオレが気を使っていると思っているらしい。そうじゃない、これはオレが自分で決めた事なんだ。
オレは自分の意志を翼に伝えた。
『オレは最期、准也に礼を言えなかった。今までありがとうって、たったそれだけのことを言ってやれなかったんだ。だから…二度と准也と同じ境遇の人間を出さないようにする事が、オレの准也に対するせめてもの恩返しなんだよ。
だから、これはオレの意志なんだ。』
オレの話を聞くと翼は優しく笑ってオレに握手を求めた。
オレはその握手が今までありがとうという意味なのか、これからもよろしくという意味なのかわからなかったが、右手を出した。
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