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オレと翼は握手をかわした。その握手がオレと翼の初めての握手だった。もしかしたらこれが最初で最後の握手になるかもしれないが…。
『お~い!真心に翼ぁ!お前達は何をごちゃごちゃ話してんだ?みんな同時に入らないと最初に入った奴が窒息死しちまうぞ。』
耕平が水の塊の前で叫んでいる。…急ぐ必要なんて全くないのにせっかちな奴だ。
オレと翼はお互いの顔を合わせるとニコリと笑って皆の元へ歩いた。
歩きながら翼が言った。
『…准也君に、今の真心君の姿が見えてるといいね。』
『たぶん見てるよ。アイツは重度の寂しがりやだからな。オレの近くにいないと死んでしまうんだぜ。もう死んでるけど。』
『コラコラ。』
一瞬、後ろに人の気配を感じた。ふと振り返ると、そこにはオレの作った准也の墓が見えた。
オレばソイツ"に向かって小さく言った。
(オレも愛してるぜ、准也…。)
『真心君、どうしたの?』
翼が不思議がってオレの顔を覗き込んだ。オレは少し遠くを見て答えた。
『いや、何でもない。行こうか…。』
『そうだね。次にオレ達が目覚めるのはいつになるのかな?』
オレは水の塊の所にいる仲間を見ながら言った。
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