第七章

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 オレを夢から一気に現実の世界に引き戻したのは耕平だった。そこでオレは再度、今の体験は夢であったと確信した。   しばらくボーっとしていると下の方から翼の声がした。   『ご飯が出来てるらしいから、二人とも下のリビングにおいでよ。』   リビングに行くと朝食が準備されていた。ノリコという人は気の利く人だな、とオレは思った。   『さすがノリコ姉。オレらのことをわかっとる!!』   耕平が感心していところで翼がオレに話しかけた。   『服はタケヤ……いや、この家のオレの友達が着なくなった服があるから借りていいって言ってたよ。サイズも同じくらいだし。』   朝食を済ませて、オレはデニムとポロシャツを借りた。ノリコさんに一言断ろうと思ったが、数時間前に仕事に行ったらしく、また次の機会にすることにした。   オレ達は洗面を済ませ、犬達に別れを告げて"佐々木家"をあとにした。厳原まで残り3キロメートルほどだ。
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