第九章

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 オレはコクリと頷いた。そして用件を伝えようとした。   『あんたが大樹か。オレは真心。急にで悪いんだが、い…』   『まずは自己紹介が先だろ。』    大樹が被せるように言った。…何の用だって聞いてきたのはそっちだろ。仕方なく、オレは自己紹介をした。   『名前は今言ったとおりだ。何日か前まで"白い家"という施設で暮らしていたが、わけあって脱出した。術(すべ)は"操作"で、水の"一カ所に集まる"という性質を強化する能力だ。…こんなもんでいいか?』   『よし、いいだろう。まぁ早速だが、死んでもらうぞ、真心。』   そう言うと大樹はいきなりオレの心臓に向かって殴りかかって来た。オレはとっさにその拳を手の平で受け止めた。   『いきなり何すんだよ!!危ねぇだろ!!』   5秒ほど沈黙が続き、大樹が口を開いた。   『お前…今、死んだぞ。』
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