第十章

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 大樹は砂浜の方へ戻って来た。ニヤニヤと笑みを浮かべている。そしてオレはその余裕が気に入らなかった。二人が10メートルほどの距離になった時に、大樹は立ち止まり、軽く半身になって構えて言った。   『オレの能力を言わないとフェアじゃねぇな…。教えてやるよ。オレの術(すべ)ば無視"。オレを対象とする反作用を無視し、ゼロにする能力や。』   …つまり、翼の能力と反対。自分が受ける反動が無くなると言うことか。そういった相手は決まってインファイトを好むはずだ。オレはこの距離を縮められないよう遠距離から能力を使って動きを止めることにした。   オレは手を伸ばして大樹の腹部にある水分子(水蒸気)を対象にして能力を発動しようとした。すると大樹が口をはさんだ。   『もうひとつ言い忘れとったぞ。オレにはもうひとつ能力がある。能力というか、術(すべ)による副作用や。それは…自分の筋肉の制御を外す能力。』   『ヤベェ!!あ、集ま…』   『遅ぇ!!』
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