第十章

4/15
前へ
/175ページ
次へ
 そう言って大樹は、水のドームに正拳突きをした。するとドームがパンっという音をたてて弾けた。…何という馬鹿力だ。 そして突きの2発目はオレのアゴを目掛けてきた。オレはギリギリでそれをかわし、そのまま右ストレートでカウンターを狙った。 アゴとまではいかなかったが、見事大樹の顔面にクリーンヒットした。大樹は少し後ずさったが、ニヤリと笑って言った。   『…なかなかやるやないか。そうこないと楽しくねぇな。』   こいつ…タフだ。完璧な肉弾線タイプである。 大樹はオレの手首を握ろうとしたが、握り潰されたらどうしようもない。オレは後ろにステップをして少し間合いをとった。   大樹は深呼吸をして呼吸を整えた。そして何を考えたのか、いきなり構えをといた。   (ん?どうしたんだ?)   オレが少し構えていた拳を下ろしかけた時、大樹は不意をついて砂の地面をなぐった。再度ほこりが舞い、オレの視界が遮られた。   『くそっ!油断した!どこいにる。』   『…雑魚にしては頑張ったな。それじゃ、クタバレ。』   その声が聞こえた瞬間、大樹の拳が見えた。しかし避けれる距離ではない。オレは負けを確信した。   『こらー!!大樹ー!また喧嘩なんかして!!』   大樹の拳が止まった。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加