第十章

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 大樹はまだ初めての状況にどうしていいかわからず、ただ立っている。翼はやれやれといった顔をして大樹の肩を叩いた。   『大樹。君のことだから゙白い家"に行くんだろ?生きるか死ぬかわからないのなら、今の加奈さんと君の気持ちをすっきりさせてから出発したほうが良いと思うよ。彼女の為にもね。』   大樹は少し下を向いて考えたが、すぐに顔を上げた。   『そうやな。このまま行っても雑念が残ってやりづれぇ。お前の言うとおりにすっぞ。』   『ははは。君らしい言い方だね。』   鈍感なオレでもなんとなくこの状況は理解できた。たしかにこれが終わらない限り、出発も無理そうだ。   『んじゃ、オレ…行ってくる。』   大樹がドアノブに手をやった。耕平が大樹にきいた。   『お前、加奈さんが何処に行ったのかわかんのかよ。』   『耕平…。愚問や。』   大樹は走って出て行った。
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