第十章

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 大樹が出てしばらくして耕平がニヤニヤしながら口を開いた。   『おい、お前ら。奴の後を追うぞ。大樹の勇士を見届けるんや!!』   やけに張り切っている。好きなんだろう、恋愛沙汰が…。しかし気にならないといえば嘘になる。オレ達は衝動に任せて大樹の後を追うことにした。……すまない、大樹。   オレ達が外に出た時にはすでに暗くなっていた。オレ達は固まって大樹の行方をさがした。       ……しばらく探したが見つからない。みんな少し諦めかけていたら翼が『海にいるかも』と呟いたので、最後にそこに行く事にした。   『おい!まて!あそこあそこ。』   先頭をきって歩いていた耕平は立ち止まって言った。よく見ると大樹の姿があった。隣には…女性がいる。加奈とみて間違いないだろう。オレ達は二人の話しが聞こえるぎりぎりの距離まで進み、草の茂みに隠れた。
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